【書籍】「片づけの解剖図鑑」の内容を知りたい。
今日の記事はこういった疑問に答えます。
今日の記事は、書籍「片づけの解剖図鑑」をレビューします。
- 書籍「片づけの解剖図鑑」レビュー
私は2018年12月に平屋を新築しました。
実際に家を建てた経験を踏まえて、建築に関する本のレビューをお届けします。
今日の記事は、鈴木信弘さんの著書「片づけの解剖図鑑」のご紹介です。
私が理想の平屋を建てるうえで最も参考になった1冊です。
「なぜ自分の家は散らかるのか?」
その根本原因を見事に解き明かしてくれているのが本書。
暮らしやすい家を作りたい人には、必読書とも呼べる内容です。
今日の記事では私が特に好きな以下の6点をご紹介します。
- 玄関 ~港には、巨大な倉庫がお似合いです~
- ワークスペース ~片づけ無用の聖地を発見!~
- ゴミ置き場 ~お別れまでは、あなたのそばにいさせて~
- 浴室 ~カビよ、さらば。~
- 食材 ~食材は冷蔵庫のみにて生きるにあらず。~
- 自転車 ~茶碗と車輪は、ひとりにひとつ。
片づけの解剖図鑑の概要、目次
出典:片づけの解剖図鑑 目次
結論、散らからない家を建てたい人には必見の内容が満載です。
アマゾンの内容紹介より引用
「もし、あなたの家が、片づけても片づけてもまたすぐに散らかってしまう家だとしたら…それはあなたの責任ではありません。おそらく、あなたの家を設計した人の責任です」片づけの技術論、精神論以前の大問題を建築的に解剖した、「住まいの解剖図鑑シリーズ」第2弾。
楽天ブックスより目次を引用
1 ヒトの動きを追いかける
片づく家とは?-駐車場が豊富な街は、暮らしやすい。
玄関ー港には、巨大な倉庫がお似合いです。
壁面ー大きな窓は、たよりない。
リビングーテーブルは万能選手。でも、仕事のさせすぎはいけません。 ほか)2 すべてのモノには場所がいる
洗濯機ー「干す」と「たたむ」の間で。
衣類ー「タンス買う」。その決断が命取り。
布製品ー日陰者こそ、陽のあたる場所に。
食材ー食料は冷蔵庫のみにて生きるにあらず。 ほか)
片づけの解剖図鑑のポイント
私が特に好きな6つのポイントをご紹介します。
- 玄関 ~港には、巨大な倉庫がお似合いです~
- ワークスペース ~片づけ無用の聖地を発見!~
- ゴミ置き場 ~お別れまでは、あなたのそばにいさせて~
- 浴室 ~カビよ、さらば。~
- 食材 ~食材は冷蔵庫のみにて生きるにあらず。~
- 自転車 ~茶碗と車輪は、ひとりにひとつ。
玄関 ~港には、巨大な倉庫がお似合いです~
港のそばで必ず目にする徐大な倉庫群。船から下ろされた、あるいはこれから積み込まれる貨物の一時保管に、大きな倉庫はなくてはならない存在です。もし仮に、港から離れた場所に倉庫があるとどうなるか?
「どうなるもこうなるも、不便に決まってンでしょう」。物流関係者たちがあきれ返るのは目に見えています。
港は「海の玄関口」とも呼ばれるくらいですから、住宅の玄関だって同じこと。近くに大きな倉庫(広めの収納スペース)がなければ、本来とても不便なはずです。にもかかわらず、多くの家ではいまだに一昔前の下駄箱しか置いていません。家中にあふれているモノたちを見てみましょう。玄関脇に置いておけばラクチンだな・・・・・・というモノ、ありませんか? 履き物だけでなく、普段あなたが持ち運んでいるモノも、「倉庫」に一時保管です。片づけの解剖図鑑 P.18より引用
内容の補足
玄関ほど収納が欲しい場所はない、ということで、港に例えて使いやすい玄関収納の実例がてんこ盛りです。
玄関の機能(接客、宅配便、コートを掛ける、ゴルフバッグなど)に着目し、なにかとモノが置きたくなる玄関という場所のあるべき収納の姿が明らかになります。
実際に平屋を建てた私が読んだ感想
私が「片づけの解剖図鑑」を読んで一番参考になった部分、といっても過言ではないのが、この「玄関」の章です。
使いやすい玄関を作るためには、下駄箱とクローゼット(コート掛け)の配置がいかに重要かということがよーくわかる内容です。
我が家の玄関の間取りは以下のとおり。
家族が出入りしやすいようにダブルアクセスの収納にできたのは、「片づけの解剖図鑑」を読んだからに他なりません。
実際、この玄関の間取りは我が家の中でも最も成功した間取りのひとつとなっています。
たたきにおりなくてもよい下駄箱とコートかけは本当に便利で、玄関に靴やコートが散乱している、なんて事態はまったく起きなくなりました。
「片づけの解剖図鑑」の玄関の章を見ると、玄関なんて「下駄箱があればOKっしょ」なんてことは100%思わなくなります。
間取り的には、他の部屋を広くしたくて、その分玄関スペースを削ろうと考えている人はいると思うんですよ。
でも、実際に平屋を建てた私から言わせると、削るべきは子どもや寝室などの個室の面積で、玄関は絶対に削るべきではない場所の筆頭です。
玄関が散らかっている家は気分が滅入るし、お客さんの印象もよくありません。
風水的にも玄関は運の入口。散らかっていていいことはひとつもない。
ぜひ「片づけの解剖図鑑」を熟読して、玄関の機能性に着目してみてください。
玄関収納については次の記事で詳しく解説しています。
ワークスペース ~片づけ無用の聖地を発見!~
「でも、散らかっている部屋はイヤ」。そんな人を救済する場がワークスペースです。ここは何をやっても許される唯一の場所。主にお母さんのながら仕事を応援する心強い味方です。あっちをやりながらこっちもやって、その合間にこれもやって・・・・・・ながら仕事が前提ですから、やりっぱなし大歓迎。ただし、いかにも散らかって見えるのはイヤですから、その配置だけはよくよくご検討ください。
片づけの解剖図鑑 P.40より引用
内容の補足
洗濯、掃除、炊事といった家事全般は「どれかひとつだけを集中してやる」ということが意外に少ないものです。やったことがある人ならわかりますよね?
やったことがない人、特に男性に多いかも知れませんが、やってみると家事動線がなぜこんなに大事だと叫ばれるのかがよくわかりますから、ぜひ体験してください。
奥さんにまかせっぱなしなうえに、間取りも動線が考慮されていなかったら、絶対奥さんかわいそうですよ!
内容としてはワークスペースに求められる以下の要素が深掘りされています。
- 机の奥行き
- 机の幅(用途に応じて)
- ACアダプラの隠し方
- キッチンとの相性
- ダイニングテーブルから見えなくする工夫
実際に平屋を建てた私が読んだ感想
我が家はワークスペースをキッチンの隣に設けました。
我が家はLDKまわりの片づけの要として、最初からワークスペース的なものをLDKまわりに配置することを要望として建築士さんに伝えていました。
もちろん、「片づけの解剖図鑑」の影響があったことは言うまでもありません。
実際にキッチン脇にワークスペースを作ってみて、これほど便利な場所はないと実感しています。
今は主に以下の用途で使っていますが、もしワークスペースがなかったらと思うとゾッっとします。
- パソコンを使うスペース
- ダイソン掃除機置き場
- 家電のマニュアル類や文房具など置き場
- 幼稚園や小学校のプリント類をマグマジックで掲示
- リビングからあぶれた子どものおもちゃの一時退避場所
- シュレッダー置き場
そしてなにより、いろんなものが集まる場所ですが、引き戸を閉めてしまえばLDKからは中身が見えません。
ある程度散らかっていても、お客さんに見られることもないのです。
急な来客の緊急避難場所としても大活躍。
キッチンとの相性も抜群で、パソコン作業をしている時にちょっとコーヒーが飲みたくなったらすぐにキッチンで用意できます。
LDKの様子も感じ取れるので、子どもがどう過ごしているかの目配せもしやすい。
ワークスペース的なものはダイニングテーブルで代用すればいいや、と考えてスペースを裂こうとしないのは、はっきり言って危険です。
ぜひ「片づけの解剖図鑑」を読んでワークスペースの重要性を知ってください。
ワークスペース関連については以下の記事で詳しく解説しています。
ゴミ置き場 ~お別れまでは、あなたのそばにいさせて~
つくるだけつくっておいて廃棄物の処理は後回し・・・・・・これは、原発に限った話ではありません。
キッチンにゴミ箱のよい置き場所がない-新築後に行われる建て主へのアンケートで、常に上位にランクする不満です。無理もありません。念願のマイホームを目前にしてあれやこれやと忙しい人に、ゴミ箱の置き場所を考える余裕はないのです。だから代わりに設計者が考えてあげる・・・・・・べきなのですが、当の設計者もゴミ箱のことなどすっかり忘れているのだから困ったものです。
ゴミは、発生する場所のなるべく近くで、手早く処理したいですね。というわけで、ゴミ箱はキッチンの中心に置くのが正解です。「えっ、ゴミがセンター?」。いえいえ、近頃は「ゴミ」とは言いませんよ。大切な「資源」を、お別れの日まで大事に保管してあげるのです。片づけの解剖図鑑 P.46より引用
内容の補足
著者いわく、4人家族の家庭に常時存在しているゴミを並べると、タタミ半畳分くらいの量になるそうです。
けっこうな多さですよね。
そんな大量のゴミを効率よく捨てるための方法として、キッチンの一等地にゴミ箱のスペースを作るべきというのが著者の主張になります。
生ゴミは臭いと水気が出る点にも着目し、できれば部屋の外に出しておきたいということです。
実際に平屋を建てた私が読んだ感想
ゴミ置き場はキッチンの一等地に!著者の主張は100%正しいと感じます。
我が家はキッチンのシンク下を空けて、ゴミ箱と生ゴミ処理機置き場を確保しました。
結果的にはこれが大成功。
料理のあとでシンクにたまった生ゴミも、シンク下から生ゴミ処理機を引っ張り出してそのままポイ!
シンク下が空洞かどうかは、キッチン、ひいては家全体のゴミ処理のしやすさを左右する超重要ポイント。
シンク下が無理ならば、背面のキッチンカウンター下を空けてもいいでしょう(実際、片づけの解剖図鑑でも事例が紹介されています)
生ゴミは臭いも水気もでるキングオブゴミ。
浴室 ~カビよ、さらば。~
新築であれリフォームであれ、打ち合わせの際に必ず浮上する「カビ問題」。キッチン廻りにタイルを張る案は、「目地のカビを掃除するのが面倒」と即却下、浴室にタイルを張る案も同様の展開です。気持ちは分かります。けれど、大人気のユニットバスにだって目地はありますし、放っておけばカビも生えます。そこで提案なのですが・・・・・・。
片づけの解剖図鑑 P.54より引用
内容の補足
「浴室は余った場所に置かれがち」という著者。
北側の風呂のつらさを切々と説いています。
浴室が北側にある限り、カビを防止する湿気対策はどれも付け焼刃で終わるということで、南側に浴室を移動してはどうか?が著者の提案です。
南のお風呂を実現するための具体的な方法にも触れられています。
実際に平屋を建てた私が読んだ感想
我が家の浴室(TOTOサザナ)は、南側の配置です。
おかげでカビ問題にほぼ終止符をうつことができました。
ほぼ、といったのは、いかに南側でも排水口など常に水気がある場所はカビるので、メンテナンスフリーではない、という意味です。
北側の浴室にありがちな、あのジメっとした何とも言えない嫌な感じが皆無になります。
これは文字で書いてお伝えするのがなかなか難しいですが、とにかく気持ちがいい。
「片づけの解剖図鑑」で、南の風呂はパラダイスと書かれていたことは本当でした。
次に家を建てる機会が仮にあったとしても、絶対に浴室は南側にしたい。
そう思えるほどの効果がありました。
食材 ~食材は冷蔵庫のみにて生きるにあらず。~
料理が得意な人を紹介するエピソードに、こんなセリフがよく出てきます。
「彼女は冷蔵庫にある残り物だけでささっとつくるのがうまくんですよ」。・・・・・・そんなわけないですよね。へりくつを言うようですが、料理の材料が冷蔵庫にしか入っていないわけがありません。冷蔵庫以外にもそこかしこに食材が置いてある。それが、一般的なキッチンの姿ではないでしょうか。片づけの解剖図鑑 P.88より引用
内容の補足
冷蔵庫には入れない食材の例として以下があげられています。
- 昆布、麺類などの乾きもの
- 米、塩などの素材もの
- レトルト、お菓子などの加工もの
- ビール、酒などの水もの
- 片栗粉などの粉もの
- コーヒー豆などの種物
これらの食材は行き場がなく、シンク下などに無造作に放り込まれているケースが多いとのことです。
著者は冷蔵庫1台分の容量の棚、パントリーを用意することを提案しています。
また食材は基本的に暗くて冷たい場所が好きということで、冷暗所となる場所がベストだとも書いています。
床暖房の部屋なんてもちろんNGですね。
実際に平屋を建てた私が読んだ感想
我が家はワークスペースの隣に、土間兼パントリー(棚)を用意しました。
ここは空調が届かない場所なので、冬の暖房ガンガンの時期でも寒く、夏も北側のためひんやりしています。
全館暖房の家などは家中が暖かいので、逆に食材の置き場に困るといいます。
案外見落としがちなところですが、著者が語るように食材は「冷蔵庫にしまう」ものばかりではないのです。
自転車 ~茶碗と車輪は、ひとりにひとつ。
あなたが毎日使っているごはん茶碗、それはあなた専用でしょうか?おそらく専用のはずですね。育ち盛りの子どもたちは大きめの丼サイズ、ダイエット中のお母さんは控え目なSサイズ。容量や絵柄の好みに応じ、各人のごはん茶碗はたいてい決まっています。
同じように、自転車も一人1台が基本。そうだっけ?と疑問に思われる方、よーく数えてみてください。赤ちゃんのベビーカーに、おばあちゃんのシルバーカー・・・・・・車輪がついているものを数えていくと、一人1台何かしらの移動ツールを持っているものです。それなのに、設計の段階で家族全員分の”車輪”の収納先がきちんと計画されていることはあまりありません。自転車置き場のない住まいは、食器棚のないキッチンのようなもの。都市部の狭小地に限らず、田舎の広い敷地でもわすれられがちな案件です。片づけの解剖図鑑 P.110より引用
内容の補足
自転車やベビーカーなど、車輪ものは一人1台が原則です。
これらを1カ所に集めると、なんと自動車1台分のスペースが必要になるとのことです。
自転車の天敵は「雨」なので、きちんと濡れない場所を整備することが必要だと著者は言います。
自転車1台あたりの収納は600×2000mmのスペースを確保すべき、とのことです。
そして雨対策として、必ず屋根が必要なため、屋根をかけるいくつかの手段が提示されています。
実際に平屋を建てた私が読んだ感想
私は「片づけの解剖図鑑」を読み込んでいたので、当然、自転車置き場も考慮するつもりでした。
ところが最終的には予算の関係で、思ったような屋根付きのスペースを設けることができませんでした。
今はまだ子どもが小さいため、キッズ用の自転車とストライダーで事足りています。
しかし小学校高学年くらいになると、当たり前のように自転車に乗り出します。
そうなった場合に、雨に濡れない自転車置き場は確保できていない現状の問題点が顕在化するでしょう。
まあ下のようなサイクルハウスを用意するのも手ですが、耐久性に難ありそうですよね。
そうなるとバイクガレージのようなものをきちんと設置しないとダメかも知れません。
幸い我が家は北側の敷地に少し余裕があるので、バイクガレージみたいなものを設置できますが、もし空き地がなかった場合には、自転車が雨ざらしになることは覚悟しなくてはいけなかったですね。
自転車を長持ちさせるには雨ざらしは避けたいところです。
【まとめ】「片づけの解剖図鑑」は散らからない家づくり、そして暮らしやすい間取りを検討するうえでも必読の1冊です。
今日の記事をまとめます。
- 「玄関ほど収納が欲しい場所はない」という著者の主張に100%同意します。
玄関が片づかないと気が滅入る度120%なので、収納計画は本当に大事です。 - ワークスペースはキッチンのそばに。
片づきやすく、家事がしやすい家の基本として、できれば取り入れたいところです。
我が家は大成功でした。 - キッチンのゴミ置き場を確保しておかないと、新居に引っ越したその日から臭い生ゴミとの果てしない戦いが始まります。キッチンで真っ先にこだわるべきはゴミ箱のスペース。本書を読めばその重要性が嫌と言うほどわかるはずです。
- 南側浴室はカビとの最終戦争に終止符をうつ秘密兵器。
我が家は本書のとおり、浴室を南側に配置し、代わりにトレードオフでメインの寝室を北側に持って行って大正解でした。 - 高気密高断熱住宅が増え、全館空調の家も増加しています。
冬、すべての部屋が暖かいのはメリットしかなさそうですが、食材の置き場としては不適切。
家のどこか1カ所は冷暗所があると食材の保管に重宝します。 - 家の計画で本当に忘れがちなのが自転車。以外にスペースを取るこの乗り物は、保管場所を確保しておかないと雨ざらしで大変なことになります。
我が家もこの点は十分な対策がうてなかったのが悔やまれます。
駐車場の計画と同じくらい駐輪場の計画は大事です。
片づけの解剖図鑑は豊富な図とともに、誰にでもわかりやすく散らからない家を説明してくれています。有益な情報しかないので、家づくりを検討中のかた全員が読むべき必読書と断言します。
建築の本としてみた場合も抜群に面白いです。
おすすめします。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
みなさんの後悔のない家づくりの参考になれば幸いです。
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