- 注文住宅を建てる時に、どうやってコンセプトを決めたらいいですか?
- 新築注文住宅のコンセプト実例を知りたい。
- 家づくりを始める時に、最低限決めておくべきこととは?
今日の記事はこういった疑問に答えます。
結論から言うと、注文住宅のコンセプト作りは、今の生活の問題点を解消、改善することから考えると無駄や失敗がありません。
- 注文住宅を建てる時のコンセプト実例
- 私達の平屋の家づくり要望一覧
私は2018年12月に平屋を新築しました。
建築プランをたてる時には、まず基本となる「コンセプト」を考えました。
今日の記事は我が家の例を参考に、失敗しない家づくりのコンセプトのたてかたをご紹介します。
また、コンセプトを元に建てた我が家は、実際にコンセプトどおりになったのか?の答え合わせも行います。
これから家を建てる予定のかたは必見です。
注文住宅を建てる時のコンセプト作り方実例
結論から言うと、現在の生活の問題点から考えましょう。
圧倒的に無駄がないです。
アパート暮らしの問題点から新築のコンセプトを考えた
私達夫婦の家づくりは、アパートに子ども二人と一緒に暮らして噴出した、数々の問題点から基本コンセプトを考えていきました。
家づくりに夢を持つな、とは言っていません。
要は順番が大切、ということです。
問題点をしっかり解消して、まずはマイナスをゼロに戻す。
ゼロに戻した後に、遊び心というプラスアルファを少し加えてみる、というのがおすすめの順番です。
アパート暮らしの問題点を列挙してみたら64個出てきた
私達家族は2LDKのシャーメゾンに5年間暮らしました。
内階段で上がっていく2階の物件でした。
5年の間に子どもが二人生まれ、最終的には4人で暮らしたわけですが、さすがに4人ともなると収納スペースが足りないといった狭さの問題だけでなく、本当にさまざまな問題点が浮き彫りになりました。
立地
- 妻の実家から10kmほど離れていて遠い。
庭、駐車場の問題点
- 子どもが安全に遊べる庭がない。
- 駐車スペースが 2台しかなく来客に対応できない。
- 玄関から車までが遠く、荷物の出し入れが大変。特に雨の日は濡れて大変。
玄関の問題点
- 玄関自体が狭い。人が並ぶと窮屈。
- ドアが強風で閉じると子どもが手を挟みそう。
- 子どもの自転車が雨ざらし。
- コート、帽子、スリッパ、ベビーカー、スキー、スノーボード、子どものプールなどの収納場所がない。
- 下駄箱が容量オーバー。
- たたき側に靴入れがあるため一旦たたきにおりないと靴が取れない。
- 窓がなく昼間でも真っ暗。
- 内階段で二階に上がるが、荷物を持って階段をあがるのが大変。階段で子どもが誤って落ちる危険性がある。
- 階段掃除は手間がかかる。
- 階段はルンバが使えない。
収納、納戸の問題点
- 扇風機、5 月人形など季節物がしまえるスペースが足りない。
(スーツケース、ふとん、扇風機、加湿器)
キッチンの問題点
- パントリーがない。フルーツ置き場がない。
- 電子レンジや炊飯器などの位置が低くて子どもが触ってあぶない。
- 食器類などの棚がオープンで目について煩雑な印象がある。
- 調味料が取り出しにくい。
- 料理用の作業スペースが狭い。
- スポンジ、タオルを置く専用の場所がない。
- シンクなどの高さが低くて疲れる。
- ゴミ箱を置くスペースがない。ゴミが臭う。
- シンクからゴミ箱が遠く水滴が床に垂れる。
- 卓上食洗機に鍋などの大きな器具が入らない。
- 玄関からキッチンが遠く、勝手口もないため、買ってきた食材を車から運ぶのが大変。
ダイニングの問題点
- 大きなダイニングテーブルがない。親や来客も含め腰掛けて話をする場所がない。
リビングの問題点
- バッグ類の置き場所がない。
- 本棚が足りない。
- 文具、写真アルバムの置き場所、iPhone の充電場所がない。
- おもちゃが散らかっていて掃除が面倒。
- 掃き出し窓が南側1つしかないため風の通りが悪い。
- テレビの後ろとテレビ台にホコリがたまる。掃除もしにくい。
- 畳スペースがなくゴロゴロしにくい。
- 掃除機、ルンバの置き場所がない。
- パソコンを椅子に座って操作できる場所がない。
- テレビを楽な姿勢で見られるソファがない。
- アルミサッシの結露が酷い。
- 冬は床が冷たくて寒い。
浴室の問題点
- 北側でジメジメしてカビやすい。
- 浴槽が狭くて足が伸ばせない。
- 窓が小さく閉塞感がある。
- 冬はとても寒い。
脱衣室の問題点
- お風呂上がりにタオルを干す場所がない。
- 下着類をしまう場所がない。
- 部屋干しする場所がない。
洗面の問題点
- 窓がなく常時暗くてジメジメしている。
- 歯ブラシなど収納スペースが鏡の横でオープンなため目について煩雑な印象がある。
- タオル、洗濯洗剤やシャンプーを保管しておける収納スペースが足りない。
- 子どもが水を出しっぱなしにして水がもったいない。
寝室の問題点
- ルンバが通れる高さのベッドがない。
- クローゼットが各部屋で別々のため洗った服をしまうのに時間がかかる。
- 服はできるだけハンガーでかけたいがスペースがないため後付のキャビネットなどを使っている。
- 窓がひとつで風通しが悪いため暑い。
- 夏はエアコンが必要で体が冷えて喉が痛い。
- 窓は大きいが庇がなく雨が怖くて窓を開けたまま寝られない。
- ベランダが遠く布団を干すのが大変 。
- アルミサッシの結露が酷い。冬寒い。
トイレ
- 窓が小さいため暗い。
- 寝室の隣などで水を流すと目が覚める。
- 収納がなく物が床にも置いてあり掃除がしにくい。
- 窓の結露が酷い。
その他設備
- プロパンガス代が高い。
アパート暮らしの問題点をひとつひとつ解消していくことで、注文住宅の家づくりのコンセプトが自然と見えてきます
新築住宅のコンセプトは列挙した問題点のひとつひとつを解消していくことで自然と出来上がっていきます。
現時点で実際に不満を感じている部分を明確にし、それを解消していくので、とにかく無駄がありません。
もちろん家を建てるには予算というものがありますから、すべてを同時に解消するのは難しいケースもあるでしょう。
しかし、問題点をすべて可視化しておけば、予算を優先的に割り振る場所、妥協できる場所を探し出す時にも有力な手掛かりとなります。
人のマネで家のコンセプトを作るのは・・・たぶん効果が薄いです
ここにあげた問題点は、当たり前ですが私達夫婦独自のものです。
人によっては問題と感じない部分もあるでしょうし、万人に共通した不満も含まれています。
本当に人それぞれ感じることには違いがあります。
自分達が家という環境に対して何を不満に感じるのか。
そのことを明確にできるのは世界中で自分達だけです。
なぜなら、家族構成、年齢、職業などによって、それぞれが抱えている家の問題点はまったく異なるからです。
他の人が抱えている問題点をそのままコピーしてもってきても、自分達には合わない場合があります。
他人の家の問題点や後悔ポイントを参考にすることも大事ですが、それは自分達の問題点を洗い出したあとにすべきです。
自分達の問題点の改善を先にもってこないと、「大切な限られた予算をどこに重点的に使うのか?」という点がブレてしまいます。
【私達の平屋】新築のコンセプト実例
実際に列挙した問題点から、どのように家のコンセプトを決めていったのかをご紹介します。
時短を叶える平屋を作るためにまとめた実際のコンセプトを公開
家づくりを始める際に、実際に私達が考えたコンセプト、要望を以下にご紹介します。
実際にはこちらにそって家づくりが進められました。
また、家づくりの判断で迷った時、予算が厳しくなった時も、コンセプトに立ち返って取捨選択をしていきました。
構造
- 階段の上り下り、階段の掃除の手間をなくすために平屋にする。
- ルンバを最大限活用するためにも段差がない平屋が良い。
庭、駐車場
- 手入れが最小限になるように、庭は人工芝にする。
- 駐車スペースは夫婦の車2台にプラスして、来客対応用に最低もう2台分は確保する。
- 最低1台は、荷物の出し入れがしやすい駐車場を確保する。
- 雨の日に濡れずに車に乗り降りできる屋根付き駐車場を作る。
玄関・勝手口
- 物や人の出入りがしやすい広めのスペースを確保する。
- 荷物の出し入れの際に開けたままにできるように、ドアは引き戸にする。
- 子どもの自転車、コート、バッグ類、帽子、スリッパ、ベビーカー、スキー、スノーボード、子どものプールなどを出し入れしやすい収納場所を確保する。
- 家族分の靴が収納できる容量、玄関のたたきにおりなくても使える下駄箱を用意する。
収納、納戸
- 扇風機、5 月人形など季節物がしまえるスペースを確保する。
(スーツケース、ふとん、扇風機、加湿器) - どうしてもスペースが足りなくなった場合に備えて、「外物置」を追加で置くスペースも考慮しておく。
キッチン
- 物が片付くようにパントリーを確保。
- 料理が捗るようにワークトップが広いキッチンにする。
- 疲れを軽減するためにワークトップの高さは妻の身長に合わせる。
- 生ゴミの処理がしやすいように生ゴミ処理機が置ける場所をあらかじめ確保する。
- 周囲が汚れないように生ゴミ処理機はシンクから近い場所に置く。
- 食器洗いにかける時間を最小限にするために最大サイズの食洗機を導入する。
- 買ってきた食材を車から運び入れるための、最短の動線を確保する。
- 洗い物をしやすくするためセンサー付きの自動水栓にする。
- 掃除がしやすいIHヒーターにする。
ダイニング
- 来客があった時に全員が腰かけられるダイニングテーブルを用意する。
リビング・書斎
- iPhone の充電場所を確保する。
- テレビまわりの掃除がしやすいように壁掛けにする。
- パソコン作業がしやすいように書斎を用意する。
窓
- カビ発生と掃除頻度を下げるために結露しにくい窓にする。
浴室
- 掃除の手間が減らせるように陽当たりのいい場所に配置する。
- 冬でも寒くないように暖房を入れて風邪を予防する。
脱衣所・物干し
- 下着類をしまう場所をあらかじめ作る。
- 部屋干しする場所を確保する。
- 洗濯機から外物干し場への動線を最短にする。
- ふとんを干す場所を確保する。
洗面所
- タオル、洗濯洗剤やシャンプーなどの在庫を保管しやすい収納スペースを確保する。
- 節水のために自動水栓にする。
寝室
- 夜寝る時も安全に開けておける窓を作る。
トイレ
- 床掃除がしやすいトイレ。
- トイレ用品の収納がしやすいトイレ。
その他設備
- オール電化で光熱費を下げる。
- 照明のオンオフの手間を減らすために人感センサー付き照明を使う。
- 体調を崩して病院にかかる頻度を減らすために、高気密高断熱で夏涼しく冬暖かい家にする。
以上が私達がアパート暮らしの問題点から考えた要望一覧になります。
これらの要望の90%は新居で実現できたと考えています。
問題点から考えたコンセプトを基準にしたら、実用的なプランになった
デザイン、意匠性にまったくこだわらないわけではないですが、見た目よりも実用的で機能的であることが優先されたのです。
時短を叶える家を建てるうえで一番大切なのは、当たり前ですが時間の節約です。
生活するうえで絶対にやらなくてはいけないことにかける時間をできるだけ減らす。
そして自分達が本当にやりたいことのための時間を確保する。
家事や移動にかける時間をできるだけ減らして、家族で楽しむ時間を増やすことが、私達の家づくりのコンセプトの本当の目的です。
コンセプトにそってできあがった注文住宅はどうなったのか?【答え合わせ】
では実際にできあがった注文住宅は、要望をどの程度実現できたのか?
以下の14項目で答え合わせをしてみました。
- 階数、間取り全体
- 庭、駐車場
- 玄関・勝手口
- 収納、納戸
- キッチン
- ダイニング
- リビング・書斎
- 窓
- 浴室
- 脱衣所・物干し
- 洗面所
- 寝室
- トイレ
- その他設備
答え合わせはコンセプトノートに書いた平屋の要望はどのくらい実現できた?【答えあわせ】で解説しています。
時短な家を目指すと、家づくりに失敗する確率が下がるというメリットがあります
時間の節約に着目すると、必然的に実用性の高い機能的な家ができあがることになります。
デザインや意匠性については個々人の感性によるところが大きいので、万人が満足するものを作ることはなかなか難しいです。
成果を測る尺度はどうしても曖昧になってしまいます。
成功したのか失敗したのかが非常にわかりにくい。
対して、無駄な時間のかからない家を作った場合には、「時間」という絶対的な尺度をもとに評価できるために、誰にとっても成果がわかりやすいのです。
時間を節約できたことは、生活し始めれば誰でもすぐに体感することできるため、あたりまえですが満足度も高くなる傾向にあります。
注文住宅のコンセプトを決めると、なにかいいことあるの?
注文住宅の基本コンセプトを決める理由はなんでしょう?
それは、家づくりは決めなくてはならないことが山のようにあって、その中から自分達にとって大切なことは何かを決めるためです。
なぜなら、以下の要素には限りがあるからです。
- 予算
- 土地の広さ
予算が無限にあれば、お金をかけることでほとんどの問題を解決することが可能です。
さらに土地の広さにも限りがあります。
なんでもかんでも詰め込むだけのスペースは、もともとないほうが当たりまえ。
予算と土地の制約がある中で、自分達が満足する家を建てるには、絶対にこれだけは嫌!という部分を核にしたコンセプトを決めておくことが大切なんです。
限られた予算を割り振る時に、コンセプトが決まっていると、優先順位付けで迷うことがありません。
自分達が当初考えていたことから大きくブレることがなくなるので、結果的に満足度の高い家を建てることが可能になります。
【まとめ】漠然とした夢よりも、まずは現状の問題点を解消することからコンセプトを考える
今日の記事をまとめます。
- 家を建てる時の最初のとっかかりとしては、漠然とした「夢」から入るのではなく、現実的な「問題点」から考えると、考えがまとまりやすいです。
- 問題点をあぶり出すには、あえて不便な環境で暮らしてみるのがおすすめ。
実際に経験してみないとわからないこともあります。 - アパート暮らしの問題点を列挙しノートにまとめましょう。可視化してみると、その逆をすれば最低限、不満の出にくい家を建てることができます。予算の優先順位を決めるうえでも可視化しておくのは有益です。
- 何に不満を感じるかは人それぞれ。
家という環境に対して何を求めるかは、世界中であなたしか決めることはできません。
こうしてアパート暮らしのころの問題点をもう一度並べてみると、新居で改善できたもの、改善できなかったものがよくわかります。
答え合わせをしているような感覚です。
9割くらいは解消、改善できましたが、予算が足りずに妥協した点が1割くらいあります。
それでも自分達が実際に経験した問題点を可視化して建築プランに反映したことで、おおよそ満足のいく家が建てられたと自負しています。
もしアパート暮らしの問題点を自分達が把握していなかったら、もっとぼんやりとした家ができて、引き続き不便な生活を強いられていた可能性は十分にあります。
みなさんも家を建てる時に何から始めればいいのか迷ったら、まずは現状の問題点を列挙することから始めてみてください。
きっと無駄のない、自分達独自のコンセプトを作ることができるはずです。
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本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
みなさんの家づくりの参考になれば幸いです。
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