平屋を建てる

【レビュー】船渡 亮さん著「この間取り、ここが問題です!」は超具体的な間取り改善の指南書!

【レビュー】船渡 亮さん著「この間取り、ここが問題です!」は超具体的な間取り改善の指南書!
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船渡 亮さんの「この間取り、ここが問題です!」の内容を知りたいです。

 

 

今日の記事はこういった疑問に答えます。

 

 

今日の記事は、書籍「この間取り、ここが問題です!」をレビューします。

 

本記事の内容
  • 書籍「この間取り、ここが問題です!」レビュー

 

私は2018年12月に平屋を新築しました。

実際に家を建てた経験を踏まえて、建築に関する本のレビューをお届けします。

 

今日の記事は、船渡 亮さんの著書「この間取り、ここが問題です!」のご紹介です。

実際の間取り図を元に、著者がプロの目線で隠れた問題点を徹底的にあぶり出す!
「快適な間取り」を実現するために建築のプロがどのような視点で間取りをチェックしているのかがわかる、超具体的な「間取り指南書」になります!

間取りで失敗したくないなら、必ず読んでおきたい1冊です。

 

今日の記事では、私が、とくに面白い、参考になる!と感じた以下6つのポイントを中心にご紹介します。

  • 間取りを暮らしに変換する
  • ポジティブプランニング&ネガティブシミュレーション
  • 靴の出し入れで土間に下りる玄関
  • 原則2 メインストリートを設定する
  • 「子育てしやすい間取り」は目指さない
  • この家のどこでセックスするの?
超実践的な間取りの改善方法を知りたいかたは、ぜひご覧になってください!

「この間取り、ここが問題です!」の概要

サマリー

 

Amazon.co.jpより商品の紹介を引用

一見すると、おしゃれで素敵そうに見える間取り。でもそこには大きな落とし穴が隠れていることも多い。注文住宅でも3分の1以上の人が「不満足」という調査結果の大部分はじつは間取りへの不満だった!
住んでみないとなかなか見えてこない「隠れた暮らしにくさ」、1000件以上の間取りを診断してきた建築士が、25の具体的な間取りから、その問題点を指摘。より住みやすい間取りを提案する。
間取りを変えると、毎日の生活が劇的に変わる!

「この間取り、ここが問題です!」で私が面白かった6つのポイント

私が実際に読んでみて面白かった6つのポイントをご紹介します。

  • 間取りを暮らしに変換する
  • ポジティブプランニング&ネガティブシミュレーション
  • 靴の出し入れで土間に下りる玄関
  • 原則2 メインストリートを設定する
  • 「子育てしやすい間取り」は目指さない
  • この家のどこでセックスするの?

間取りを暮らしに変換する

「間取りで暮らす」は私が名付けましたが、これは住宅設計者や間取り好きな人が自然に行ってきたシミュレーション方法です。やり方はとてもシンプルで簡単です。「家族全員の一日の動き(動線)を間取り上でイメージする」たったこれだけです。目の前に間取り図を置いて、ペンなどで家族の動きを書くことで、どのような動線になるのかを可視化できます。また動線だけでなく、そこで何をするのか、何が見えるのか、もイメージするようにします。住宅会社がCGパースなどを作製してくれた場合は活用しましょう。「間取りで暮らす」のにかかる時間は、個人差はありますが、30分から60分程度です。ですから、それほど大変な作業ではありません。長ければ40年から50年程度は暮らす住宅の購入や家づくりなので、それくらいの時間をかけてシミュレーションする価値はあります。このように、間取りを暮らしに変換することができれば、納得した上で家を決めることができます。

出典:船渡 亮さん著『この間取り、ここが問題です!』

実際に平屋を建てた私が読んだ感想

船渡 亮さんが本書で提案しているのは、「家族全員の一日の動き(動線)を間取り上でイメージする」ことです。

シンプルですが本質をついている素晴らしい考え方です。

ポイントは「家族全員」というところですね。

家族全員の動線を追うことで、ある人には使いやすいけれども、他の人には非常に使いにくい点や、家族の動きがぶつかってしまう邪魔な動線ポイントなどが浮かび上がります。

すでに間取り図を検討されているかたは、実際に家族全員の動きを間取り図上でシミュレーションしてみてください。

できれば自分ひとりでなく、家族全員が揃った状態で行うと、異なる視点からの意見が出るのでおすすめです!

 

本書を読むと、「間取りで暮らす」を実践する、超具体的で便利な4ステップを知ることができます。

この4ステップを実行するだけでも、自分達の間取り案が劇的によくなること間違いなしです!

プロがどこを見て間取りを問題点を指摘しているのかを、ここまで明かしてしまっていいの?と思ってしまうくらい、深く濃く、そして実際に使えるテクニックが惜しげもなく披露されています。

 

間取りの平面図を、ただ、ひとりで眺めていても、具体的な問題点は案外浮かび上がってきません。

私の経験から言うと、大部分を自分だけの視点で、間取りの良い点、悪い点を考えてしまった点が悔やまれます。

もう少し、妻、または子どもの動線のことも考慮して間取りを作成していれば、ウォークインクローゼットランドリールームトイレの配置は工夫の余地があったのではないか?と思えてしまいます。

本書を読んで、間取りを検討をはじめた段階で、ぜひ4ステップを実践してみてください!

ポジティブプランニング&ネガティブシミュレーション

「ポジティブプランニング&ネガティブシミュレーション」という言葉があります。間取り検討時は楽観的に色々なアイデアを試した方が良いですが、検証時(「間取りで暮らす」時)は多少悲観的・現実的な方が意味のあるシミュレーションになります。

出典:船渡 亮さん著『この間取り、ここが問題です!』

 

実際に平屋を建てた私が読んだ感想

ポジティブプランニング&ネガティブシミュレーションも、覚えておいて損はない重要な考え方だと感じました。

書籍の中では、「冬の雨天に子連れで買い物して帰る」や、「【洗濯】朝の洗濯を地獄にしないために」といった内容で、動線のネガティブシミュレーションの例が提示されています。

「冬の雨天」は想像しただけで肌寒いですよね。

 

冬の雨天に、スーパーの買い物袋を持ちつつ、家の中に入るという動線が、どのくらいのストレスがかかるのかを想像することが大切です。

「春の晴天」といったポジティブな状態だけのシミュレーションでは決してわからないことがたくさんあります。

わが家は屋根付き駐車場があるので、車の乗り降りについては雨天時でもだいぶラクになりました。
家を建てた私から見ても、ネガティブシミュレーションは効果抜群だと感じます。

 

また、洗濯動線に関しては、1階で洗濯をして2階に重い洗濯物を運んで干す、船渡 亮さんのご友人宅の苦労話が語られています。

わが家も息子が3人いますので、毎日の洗濯量は膨大。

1日に3~4回洗濯機をまわすことも珍しくありません。

わが家は平屋にしたことで階段がなく、しかも洗濯機とサンルームが近いので洗濯のストレスは極小となっています。

もし、1階で洗って、2階の物干し場に行かなくてはならない間取りだったら・・・なんて恐ろしくて想像もしたくありません。

間取りを考える!となると、夢いっぱいでワクワクする部分だけを想像しがちですが、一番重要なことは現実的な側面から毎日の暮らしが快適になるか?という点ですね。

【新築】失敗しない平屋の間取りの作り方【7つの手順】に書きましたが、まずはマイナスをゼロに戻すことが大切です。

 

家づくりのワクワク感も大事ですが、ワクワクしすぎて現実を見ないのも考え物。

本書を読んで、ネガティブシミュレーションの具体例を学んでいただき、後悔の種を少しでも減らしましょう。

靴の出し入れで土間に下りる玄関

2つ目は、靴の出し入れがしにくいことです。靴を出し入れするには、40cmの奥行き部分に立つしかないですが、ここに立って扉を開けるのは至難の業です。現実的にはサンダルを履いて土間に立った上で靴の出し入れを行うことになりますが、私のような面倒くさがりには、耐えられない間取りです。

出典:船渡 亮さん著『この間取り、ここが問題です!』

実際に平屋を建てた私が読んだ感想

土間に降りないと届かない靴箱・・・。

それがどれほど面倒なのかは、私もものすごく共感します。

わが家の玄関収納は、土間に下りなくても使える靴箱にしました。
はっきり言ってとても便利で、わが家の間取りの中でも1,2位を争うお気に入りポイントとなっています。

本書では、間取り図のビフォー、アフターを見ながら、船渡 亮さんがプロの視点で、どのあたりに着目し、改善を施したのかがわかります。

同じ面積でも、間取り、収納配置を変えるだけでこれほどまでに違うものなのか!と驚愕すること間違いなしです!

生活をイメージして、本当にこれがいいの?と何度も自問することで、ベストな間取りに近づくことができます。

気になるかたは是非本書をご覧ください。

原則2  メインストリートを設定する

道路は都市の中に張り巡らされた動線といえますが、道路計画でまずやるべきは、「国道」というメインストリートを通すことです。その上で、県道・市道と分岐していきます。このように体系的に計画することで、無駄のない移動が可能になります。
規模は違いますが、住宅の動線にも同じことがいえます。まずはシンプルなメインストリートがあり、そこから分岐して主要な部屋や2階に入れるようにすると、他の家族の邪魔にもならず移動のストレスも減ります。

出典:船渡 亮さん著『この間取り、ここが問題です!』

実際に平屋を建てた私が読んだ感想

書籍上では、動線が複雑で他の家族の邪魔になってしまう間取りに、メインストリートを設定することで動線が大きく改善された事例が掲載されています。

書籍で改善前の図面をみてみると、たぶんほとんどの人が、「え?普通の間取りでしょ?なにか問題あるの?」と思ってもおかしくないと思います。

でも、船渡 亮さんの手によって問題点が間取り図に書き込まれると、とたんに、「あー、この間取りだと、移動するたびに誰かにぶつかりそうだ・・・」と思えてしまいます。

まさに、素人がパっと見ただけではわからない、プロならではの非常に深い考察に驚かされました!

 

メインストリートが設定されたあとの間取りは、シンプルでスッキリしています。

同じ面積なのに、体感的には1.5倍くらい広くなったのでは?と感じるほどです。

面積も費用も増えないのに、使い勝手は大幅に上がる。

まさに、たかが通路、と思うなかれ。ですね。

 

さらに、「ぐるぐる回れる回遊動線」というキラーワードこそ、注意が必要と船渡 亮さんは警鐘します。
本当に必要な回遊動線なら良いのですが、ぐるぐる回れることが実はデメリットになることもある、ということです。

「回遊動線」は流行りですし、なんとなく使い勝手が良さそうだし、当ブログでも回遊動線の平屋間取り図19選!【収納・水回りの使い勝手が抜群】の記事でまとめているほど昨今では需要があります。

しかし、なんでもかんでも回遊できることが正義ではなく、間取り全体を俯瞰したみたときに、実は回遊ではないほうが便利!という可能性もあるのだな、とハッとさせられました。

ぜひ本書を確認して、「わが家のメインストリートはどこか?」を確認してみることをおすすめします。

「子育てしやすい間取り」は目指さない

・園児の様子がわかる開放的なトイレ
・園児が使いやすい高さの手洗い器
・園児が昇りやすい階段
・園児が楽しめる秘密基地

これらを採用すれば子育てはしやすくはなりますが、その消費期限は極めて短いです。

出典:船渡 亮さん著『この間取り、ここが問題です!』

実際に平屋を建てた私が読んだ感想

この「「子育てしやすい間取り」は目指さない」の見出しを読んで、え?なんで?と思われたかたもいらっしゃるでしょう。

子どもが生まれた、あるいは子どもが大きくなって家が手狭になった、といったことを理由に家を建てる人が多いはず。

ですので、この見出しは、なんだか直感に反する気がしますよね?

でも、あまりにも小さな子どもをターゲットにして家づくりを進めると、子どもが成長するにつれて、逆に子どもにとっても暮らしにくい間取りになってしまう可能性があると、船渡 亮さんは注意喚起されています。

書籍では、子どもの成長とともにデメリットが増えてしまう間取り図事例がたくさん紹介されていて、すごく参考になります。

なかには子育てしやすい家づくりを標榜しているハウスメーカーなどが、いかにも提案してきそうなアイディアもありました。

「子育て応援」は耳障りが良い言葉なのであまり疑うことなく受け入れてしまいそうですが、実はよく考えておかないと、あとで大きな落とし穴にハマるかも・・・。

 

わが家も子育てしやすい家も考えましたが、賞味期限を考えると子ども部屋は小さくてもよいと考えて、最終的に4.5帖の比較的小さな子ども部屋にした経緯があります。

あまりにも子ども部屋を優先してしまうと、他の機能に割ける面積、費用がなくなってしまうからですね。

著者は「親が機嫌よく子育てできる間取り」を目指すべきという主張ですが、実際に平屋を建てて3人の息子と暮らしている私からみても、この考え方には100%同意できます。

 

本書では、キッチンから死角が少なく、最短距離で子どもをサポートできるスタディスペースの間取りが提案されていますが、私も必要だと感じます。

大人が子どもの宿題をみてあげやすい間取りかどうか?という点は重要です。

わが家の場合、小学生の息子は、自分の部屋では宿題をめったにしません。
もっぱら、ダイニングテーブルを使っています。

リビングの一括にスタディコーナーがあればよかったな、と思うこともしばしば。

 

子どもが何か疑問を持ったときに、目の届く場所ですぐに話を聞いてあげられることは、親子の信頼関係、コミュニケーションを円滑にするうえで大変重要です。

必要なタイミングで、必要なアクションが簡潔に取れる間取りの重要性に着目している船渡 亮さんの視点からは、学ぶべきことがたくさんあります。

他にも、「リビング階段は引きこもり対策にはならない」という解説も本書にはあり、著者が今まで行ってきた設計の経験から、真に子育てしやすい家とは?の答えが満載です。

  • 本当に子育てがしやすく、長期にわたって家族が暮らしやすい間取りは? 
  • どの程度、子育てと親の都合のバランスを取るべきなのか?

答えを知りたいかたはぜひ本書をご覧になってください。

この家のどこでセックスするの?

大学2年生時の住宅設計の授業での会話です。非常勤講師の(当時の)若手建築家が学生の戸建て住宅のプレゼンを見て質問しました。

「この家の夫婦はどこでセックスするの?」

学生が考えたのは、どの部屋に行くにも、夫婦の寝室を通らなければならない、という間取りでした。つまり、子供や同居の母親など他の家族がトイレやリビングに行く時、夫婦の寝室を通らなければならないので、気になってセックスなんかできないではないか、という指摘です。この言葉、21歳のわたしには衝撃的でした。

出典:船渡 亮さん著『この間取り、ここが問題です!』

実際に平屋を建てた私が読んだ感想

刺激的な内容の見出しだと思いましたか?

本書の第5章は、まるまる「セックスレスになる間取り」について書かれています。

私も最初読んだときは、ここまで踏み込んだ内容について書かれている本やウェブサイトはみたことがないなと思いました。

ましてや、ハウスメーカーや工務店の設計士のかたと、対面で間取りの打ち合わせをする際にも、「セックス」という言葉が出てくることは、まずないんじゃないでしょうか?

お互い触れてはいけない部分というか、面と向かって相談するのは恥ずかしい、といった側面もあるかと思います。

しかし! 夫婦の営みを安心して行えない間取りの家では、セックスレスになる確率も上がってしまうことを著者は危惧していて、超具体的な対策の数々が記載されているのです。

 

「セックスレスにならない間取り」を作るための重要なポイントとして、以下の5つが本書では解説されています。

  1. 主寝室の音が漏れないようにする
  2. 水廻りへの動線を最短にする
  3. 収納量を確保する
  4. 睡眠の質を高める
  5. 家事や育児を協力しやすくする

それぞれの詳しい内容は、ぜひ本書でご確認いただきたいのですが、単に音の問題だけではなく、間取りを工夫することで、トータルで夫婦仲をよくする方法について書かれている点が素晴らしいと感じました。

 

まさかうちに限ってセックスレスなんて・・・と思っているそこのあなた。

夫婦の7割近くがセックスレス、なんて統計も出ているくらいセックスレス大国の日本において、「セックスフル」のほうがむしろ少数派であることを軽視してはいけません。

子供が生まれて、家を建てたあとも、夫婦の営みを続けたいなら、ぜひ間取りを決める前に本書を手に取って、セックスレスにならない間取り作りをおすすめします。

【まとめ】間取りを作る前に読んで、間取りを決定する前にも読み返すべき必読書

まとめ

本記事では、船渡 亮さんの著書「この間取り、ここが問題です!」を実際に読んでみて、私がとくに面白いと感じた以下の6点について解説させていただきました。

  • 間取りを暮らしに変換する
  • ポジティブプランニング&ネガティブシミュレーション
  • 靴の出し入れで土間に下りる玄関
  • 原則2 メインストリートを設定する
  • 「子育てしやすい間取り」は目指さない
  • この家のどこでセックスするの?

上記のポイント以外にも、本当に良い間取りを作るために活かせる実践的なテクニックや考え方が満載です。

「間取り」という点において、ここまで具体的にプロのテクニックについて解説されている書籍はないと思います。

これから家を建てようと考えているかたは、本書を一読すれば良い間取りを考えるうえでの基本的な考え方が身に付きます。

そして、実際に家づくりを開始していて、間取りがある程度固まったかたも本書を読めば、今の間取り案に欠点はないのか?を、客観的に検証することができるでしょう。

家を建てる前に、そして間取り確定のその前にもぜひ読んでいただきたい、家づくり必携の一冊です!

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本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

みなさんの後悔のない家づくりの参考になれば幸いです。