- 夏涼しく冬暖かい家を建てたいですが、何が一番重要ですか?
- 高気密、高断熱にすれば夏涼しく冬暖かい家になりますか?
今日の記事はこういった疑問に答えます。
結論から言うと、軒が絶対に必要です。
高気密高断熱だけでは夏涼しい家を作るのは難しい。
なぜなら、日射遮蔽できないと窓際は容赦なく太陽の熱にさらされるからです。
- 軒の日射遮蔽効果の実例
- 夏は日射遮蔽、冬は日射取得が大切
- 軒のないデザイン住宅で大丈夫?
私は2018年12月に平屋を新築しました。
Ua値0.6、C値0.8の高気密高断熱の家を建てることができました。
2019年に初めての夏を迎えたわけですが、エアコンに過度に頼ることなく快適な夏を過ごせています。
今日の記事は我が家の構造を例に、軒の重要性についてご紹介します。
これから家を建てる予定のかたで、夏涼しく冬暖かい家に住みたい人は必見です。
こんな疑問をお持ちのかた、多いですよね。
「とりあえず住宅展示場に行ってみよう」もアリですが、展示場の家は豪華すぎてリアルサイズの住宅イメージがつかめないばかりか、平屋のある展示場はほとんどありません。
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軒の日射遮蔽効果の実例
夏涼しい家を作るには軒は絶対に欠かせません。
我が家のリビングの軒は約1300mm
我が家のリビングの側面図です。
軒が約1300mmほど出ています。
真夏のウッドデッキの温度は60℃越え
真夏の太陽光が直に当たっているウッドデッキの温度を計測してみました。
63.1℃でした。
驚異的に暑いですね。
軒のおかげで日陰になっている室内の床を計測してみたところ、29.6℃でした。
日なたの半分以下の温度です。
もし軒がなかったらと考えると、、、
きっと窓際には暑くていられないでしょう。
エアコンもかなり強めにしないと、部屋が涼しくならないはずです。
エアコンの設定温度を下げれば部屋はなんとか涼しくなると思いますが、窓際でコタツを使いながらエアコンで無理やり冷やしているようなものなので、エネルギー効率が非常に悪いです。
外気温35℃でもエアコンは27℃設定でOK
我が家のLDKは約23畳ほどあります。
LDKは12畳用のダイキン壁掛けエアコン1台で冷房しています。
冷房の設定温度は、外気温が35℃の時でも27℃の設定で全く問題ありません。
断熱材は天井がスタイロフォームFG 100mm、壁がセルロースファイバー120mmです。
しっかりと断熱材は入れてもらっていますが、窓が大きな我が家のリビングです。
きっと断熱材だけでは窓からの日射で蒸し暑い家になっていたと思われます。
Ua値0.6、C値が0.8の我が家は比較的、高気密高断熱の家であるといえます。
しかし、もし軒がなかったら、せっかくの高気密高断熱も十分に威力を発揮できなかったでしょう。
軒を作れば当然建築費は上がります。
でも軒がない家を作って、冷房費が増大したうえに不快なのは最悪です。
ただし、15時過ぎから入ってくる西日については、太陽の高度が低いために軒では防ぎきれませんでした。
西日が入る窓を含めたリビングの後悔・失敗ポイントについては次の記事で解説しています。
軒がないとコタツと同じ熱量が室内に入ってくる
夏の照り付ける太陽の光を効果的に遮るには、窓に軒(または庇)が絶対に欠かせません。
松尾和也さんの著書「ホントは安いエコハウス」のP.109には以下の記述があります。
庇が全く無い場合、なんと647Wもの熱量が入ってくることになります。
もともと暑くてたまらない夏において、窓がコタツになっているのです。
松尾さん曰く、窓に直射日光が当たった場合に入ってくる熱量は600Wを超えるそうです。
600Wといえばコタツのヒーターくらいの熱量です。
もし太陽の光を遮るものがないと、真夏に窓際でコタツをガンガン使っているのと同じ状態になるということです。
夏は日射遮蔽、冬は日射取得が大切
軒があると夏場は日射を効果的に遮蔽してくれます。
では寒い冬はどうでしょうか?
冬は太陽高度が下がるので太陽熱を取り込めます
冬は太陽の高度が下がるため、軒があっても太陽の光を取り入れることができるのです。
冬は日射取得で暖房費を下げる
太陽光を取り込むことができれば、暖房の負荷を下げることができます。
直射日光は600Wのコタツをつけているようなものですから、冬に直射日光を取り込めれば窓際はぬくぬくです。
実際我が家の冬は、太陽が昇り始めてから沈むまでは、太陽の熱を窓から取り込むだけで、床下エアコン暖房をつける必要がない日がほとんどでした。
だいたい朝の10時くらいを過ぎると床下エアコン暖房はいったん切るような生活です。
逆に暑くなりすぎて、暖房を切るだけでは足りず、窓を開ける日もあったほどです。
家の中で最もエネルギーを消費するのは、冬場の暖房になります。
軒のないデザイン住宅で大丈夫?
最近増えている、軒も庇もない四角いかたちのデザイン住宅を建てるつもりなら、夏の暑さはある程度覚悟すべきです。
軒がなければ夏場は不快
私は結婚するまえに、軒や庇の全くない四角いデザイナーズアパートに住んでいたことがあります。
メゾネットタイプの物件で2階がLDKでした。
LDKには南側に大きな窓がありましたが、デザイン優先のため軒や庇はありませんでした。
結果どうなったか。
真夏の暑い時間帯(11時~15時)くらいは、暑すぎて2階のLDKに居られないのです。
窓からはガンガンに真夏の太陽熱が入ってきます。
ブラインドで遮ってはいましたが、焼け石に水な感じでした。
軒がないのでガルバリウム鋼板の外壁も容赦なく暖められ、室内の壁を手で触ると暖かかったのをよく覚えています。
軒がないのはかっこいいですが、、、
軒や庇がない家はモダンに見えてかっこいいです。
軒のない四角い家をみたあとに、伝統的な切妻屋根や寄棟屋根の家をみるとなんだかちょっと古臭く感じてしまうこともあるでしょう。
でも、軒がない家とある家の両方に住んだ私は、断然、軒がある家をおすすめします。
もちろん見た目のデザインも大切です。
せっかくの注文住宅ですから、人とは違うかっこいいデザインに憧れるのもわかります。
でも、一度建てたらおそらくは長く住む家です。
夏場は常に暑くて不快では、せっかく建てた家にあまり居たくなくなるかも知れません。
家族からも「なんだかこの家暑くない?」と言われたら悲しいでしょう。
軒をしっかり出すことは外壁の保護にもなる
私がお願いした建築士さんはもともと軒の重要性をとてもよく理解しているかたです。
おかげさまで夏場はきちんと太陽の光を遮り、冬場は太陽の光を取り込める軒を設計してくださいました。
そして軒のメリットは夏場の日射遮蔽だけではありません。
外壁が直接、雨に打たれることが少なくなるため、外壁を守る効果もあるのです。
外壁というのは屋根と同じくらい、最も過酷な状態につねにさらされています。
雑誌「だん」でも「軒ゼロ住宅」が危ないという記事がありました。
また、雑誌「建築知識」では、軒のある平屋は2階建ての家に比べて外壁メンテナンス費用に300万円もの差がでる可能性が指摘されています。
外壁はどうしても傷みますので定期的なメンテナンスが絶対に必要になります。
軒があることで外壁に蓄積されるダメージを減らし、メンテナンスの頻度を確実に下げることが可能です。
予算はかかりますが、快適性、メンテナンス性を重視するなら、軒のある家を建てることをおすすめします。
【まとめ】軒を設けて涼しい夏、温かい冬を過ごしましょう
今日の記事をまとめます。
- 窓から入ってくる太陽の熱は600wのコタツを同じです。
夏場は軒で遮らないと窓際には暑くていられなくなります。
冷房費もかさむのでランニングコストも増大します。 - 高気密高断熱の家で、なおかつ軒があれば、35℃超えの猛暑日でもエアコンの設定温度は27℃で十分快適です。
- ただし、夏の西日は軒だけで防ぐことはできませんでした。
西側の窓のリスクはよく検討したほうがいいですね。 - 冬場は太陽高度が下がるので、軒があっても太陽光をしっかり家の中に取り込むことができます。
軒があると冬場寒くなるのでは?と心配する必要は全くありません。 - 最近流行りの軒も庇も全くない、四角いデザイン住宅に住むつもりであれば、夏の暑さはある程度覚悟すべきです。
どうしても軒や庇のないかっこよさ優先の家を建てて、なおかつ夏の涼しさもキープしたいのなら、窓の大きさを極力小さくするしかありません。
窓が小さければ太陽熱の影響は最小限ですみます。
そのかわり十分な採光が取れない、冬場にうまく日射取得できないといった問題が新たに浮上します。
四角いデザイン住宅を建てるつもりなら、リスクがあることを承知したうえで進めるべきです。 - 軒は日射遮蔽だけでなく、外壁を雨風から守る効果もあります。
外壁のメンテナンス頻度を下げる効果も合わせて考えると、軒のコスパは良いとも言えます。
高気密高断熱でなおかつ軒がある家の快適さは、想像のはるか上でした。
最近の暑さは本当に異常で、熱中症が怖くて外出できないことも多いでしょう。
うちは新居に引っ越してからは、結局家の中が一番快適なので、家で過ごす時間が増えました。
無駄な外出も減りましたし、熱中症のリスクも最小限です。
異常に暑い夏でも、家族で快適に過ごせる家があることは何者にも代えがたい幸せです。
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本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
みなさんの後悔のない家づくりの参考になれば幸いです。
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