平屋の実例

床下エアコンの仕組み【ガラリの位置】

床下エアコンの仕組み【ガラリの位置】
「床下エアコン」という暖房のことをたまに耳にしますが、「床下エアコン」ってそもそもどんな暖房ですか?

 

 

今日の記事はこういった疑問に答えます。

結論から言うと、床下エアコンとは床下に暖房を吹いて輻射熱で下から暖める暖房のことを言います。

本記事の内容
  • 「床下エアコン」の仕組み説明
  • 「床下エアコン」に必須のガラリの位置

 

私は2018年12月に平屋を新築しました。

LDKの暖房には「床下エアコン」を採用しました。

今日の記事では私達の平屋に導入した「床下エアコン」の仕組みをご紹介します。

これから家を建てる予定のかたで、床下エアコンに興味があるかたは必見です。

 

そもそも「床下エアコン」ってなに?

「床下エアコン」は、普通のエアコンの風を床下に送り込んで温める方式の暖房です。

 

床下エアコンの仕組み

下図は家を側面から見た図です。
エアコンで床下に暖かい空気を送りこみます。
暖かい空気は自然と上に上がってきて床を暖めます。
特に寒くなりやすい窓際の床にはガラリをつけて、暖気が直接部屋に上がってくるようにします。

 

さらに、基礎のコンクリートはもともと蓄熱しやすい性質をもっています。
蓄熱した基礎は、エアコンを切ったあとも部屋をジワジワと暖めてくれます。

 

床下エアコンの暖気が上がってくる「ガラリ」の位置

床下エアコン用のガラリ

我が家のガラリはこんな感じです。
南と西の掃き出し窓にそって設置してあります。

間取り図にガラリの位置を示してみました。
赤で塗りつぶしたあたりにガラリがあります。

リビングの床下エアコンのガラリの位置
JUN
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窓際が一番冷えるので、ガラリから上がってくる暖気で暖めます!

 

ガラリの隙間にはネットが貼ってあるので小物が床下に落ちる心配はありません。
床下エアコン用のガラリの接写

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ネットをはってくれた工務店さんの細かい気配りに感謝です。

 

 

床下エアコンには「基礎断熱」が必須です

床下エアコンを使うためには、「基礎断熱」が必須です。

基礎断熱とは、下図のように、基礎のコンクリート自体を断熱材(赤で囲んだ部分)で覆い、基礎コンクリートに熱を伝わりにくくして床下の空間を暖かく保つ断熱手法になります。

JUN
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床下も部屋の一部とみなすわけですね。

ガラリを外して、基礎の断熱材を撮影してみました。
ネオマファームという断熱材を使っています。
外気の冷たさが床下に入ってくるのを防いでくれています。

床下エアコンは床下も部屋の一部として暖める必要があるため、基礎断熱であることは絶対条件になります。

JUN
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基礎断熱でない構造の家の場合は、後からリフォームで床下エアコンにしよう、というのは無理な相談です。

 

 

床下エアコンを成功させるには、家そのものの断熱性、気密性が重要

床下エアコンはエアコンつけてすぐに暖かくなる、といった類の暖房ではないです。
あらかじめ早めに暖房をつけておいて、下からジワジワ暖まる感じです。

そのため、暖めた空気が逃げないよう、家そのものが高気密、高断熱である必要があります。

隙間風スースー状態では効率よく暖めることができません。
最悪の場合、せっかく床下エアコン入れたのにぜんぜん暖かくない! といった事態にもなりかねません。

 

床下エアコンを実際に建てた経験のある施工会社、工務店さんに依頼すれば安心です。

うちの場合、設計は設計事務所ですが、施工は高気密、高断熱に非常に力を入れていて、なおかつ床下エアコンを何棟も採用したことのある工務店さんに依頼しました。

最終的には、UA値0.6、C値0.8の家になりました。
(実は玄関引き戸でに気密対策をする前はC値1.4でした。。。このあたりについて詳しく知りたいかたは【平屋の実例】引き戸玄関の唯一のデメリットは気密性【3つの改善策も解説】をご覧ください)

 

UA値は建物の外壁や開口部などから逃げる熱量を計算したもので、値が小さいほど熱が逃げにくいです。
C値は気密性、つまり家にどれだけ隙間があるか?ということを示す値です。
UA値、C値について詳しく知りたい人は下記メモを参考にしてみてください。

UA値とは?

外皮平均熱貫流率(UA値)は、住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値です。
つまり、熱損失の合計を外皮面積で除した値で、値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示します。

ホームズ君よくわかる省エネ より引用

C値とは?

C値とは、住宅における相当隙間面積のことです。建物全体にある隙間面積(cm2)を延床面積(m2)で割った数値で、建物の気密性能の指標として用いられています。
C値の測定は、実際に建てられた建物内で、専門の気密測定試験機を使って行います。数値が小さいほど優れた気密性をもつ建物といえます。例えば、延床面積が40坪(132m2)の場合、C値が5.0なら隙間面積は660cm2(はがき約4.5枚相当分)、C値が2.0なら隙間面積は264cm2(はがき約1.8枚相当分)です。

SUUMO(スーモ)住宅用語大辞典 より引用

 

 

我が家の断熱性と気密性は床下エアコン採用にギリギリ合格レベル?

UA値0.6とC値0.8は、高断熱高気密住宅か? というとそうではありません。
松尾 和也さんの著書「ホントは安いエコハウス」には以下のとおり書かれています。

床下エアコンは、断熱にさほど興味のない工務店も引き付ける魅力を持っているようです。実際、たくさんの工務店が見よう見まねでまねしています。しかし、1台のエアコンで満足した効果が得られるのは、最低でも旧IV地域においてQ値1.9以下、C値1以下で、できれば南からな日射取得を多くし、東西北面の窓は小さくするといった基本ができた上での話です。基本ができていないのに、この方式だけまねしても効果を期待することはできません。

JUN
JUN
UA値0.6はQ値に換算すると2.0くらい、C値は0.8なので、なんとか松尾さんが提唱される床下エアコンの基準ギリギリくらいです。ですが、実際には床下エアコンで十分に暖まる家ができました。

 

 

 

【まとめ】床下エアコンは床下にエアコン暖房を吹いて暖める暖房です。

今日の記事をまとめます。

まとめ
  • 床下エアコンは床下にエアコン暖房を吹いて部屋を輻射熱で温めるタイプの暖房です。
  • 床下エアコンの暖気で窓際を効率よく暖められるように、窓際にガラリをつけます。
  • 床下エアコンを採用するには基礎断熱であることが必須になります。
  • 床下エアコンが効果を発揮するには高気密高断熱な住宅であることも条件のひとつ。
    我が家のスペックはUA値0.6、C値0.8ほどで、超高断熱・高気密か?と言われればそうではありません。
    が、逆にUA値0.6、C値0.8くらいあれば床下エアコンは十分に機能するということです。
    実際我が家は非常に暖かいです。

あまり聞きなれない暖房方式かも知れませんが、従来の壁掛けエアコン暖房の不快さを見事に軽減した画期的な暖房です。

チャンスがあれば積極的に採用されることをおすすめします。

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