平屋を建てる

【レビュー】前真之さん著「エコハウスのウソ」は41の省エネの疑問を解決できる良書!

エコハウスのウソ
記事内に広告を含みます

【書籍】「エコハウスのウソ」の内容を知りたい。

 

 

今日の記事はこういった疑問に答えます。

 

 

エコハウスのウソ

今日の記事は、書籍「エコハウスのウソ」をレビューします。

 

本記事の内容
  • 書籍「エコハウスのウソ」レビュー

 

私は2018年12月に平屋を新築しました。

実際に家を建てた経験を踏まえて、建築に関する本のレビューをお届けします。

 

今日の記事は、前真之さんの著書「エコハウスのウソ」のご紹介です。

豊富な図解と写真とともに、エコハウスの本当の常識がわかる本です。

省エネで年中快適なな家を建てたいならマストな1冊。

 

今日の記事では私が気になった以下5点をご紹介します。

  • Q.4 家なんてどこに頼んでも同じ?
  • Q.10 結局、住まいは夏を旨とすべし?
  • Q.13 日本の窓はずっと世界サイテー?
  • Q.15 家のエアコンは節電の敵?
  • Q.27 暖房で体を温めよう?

 

 

「エコハウスのウソ」の概要、目次

サマリー

 

Amazon.co.jpより商品の紹介を引用

その省エネ、実は増エネかも。気鋭の環境学者が最新のデータで「常識のウソ」をただす。2020年義務化の新省エネ基準も解説。大幅改訂&増ページの最新版!

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
前 真之
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻准教授。博士(工学)。1975年生まれ。1998年東京大学工学部建築学科卒業。2003年東京大学大学院博士課程修了、2004年建築研究所などを経て、2004年10月、東京大学大学院工学系研究科客員助教授に就任。2008年から現職。空調・通風・給湯・自然光利用など幅広く研究テーマとし、真のエコハウスの姿を追い求めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

 

Amazon.co.jpより目次を引用

プロローグ 省エネ基準義務化
Q.1 2020年以降、全ての家がエコハウスに?
Q.2 新省エネ基準を守るだけで暖かい家になる?
Q.3 地域の気候は「8区分」でバッチリ?
Q.4 家なんてどこに頼んでも同じ?

第1章 人と気候
Q.5 人間は暑さに弱い?
Q.6 湿度はパーセント(%)が当たり前?
Q.7 エアコンなしでも日本の夏は大丈夫?
Q.8 温暖地は冬の朝も温暖?
Q.9 日ノ本の国はどこでも太陽サンサン?
Q.10 結局、住まいは夏を旨とすべし?

第2章 建物の外皮性能
Q.11 離れた壁や窓、天井の温度は快適性に無関係?
Q.12 ローイーガラスって日射を遮蔽するガラスでしょ?
Q.13 日本の窓はずっと世界サイテー?
Q.14 断熱材と構法にこだわれば断熱はバッチリ?

第3章 冷房
Q.15 家のエアコンは節電の敵?
Q.16 冷房が最大?
Q.17 選ぶならハイパワーのエアコン?
Q.18 除湿は冷房よりもエコ?

第4章 夏への備え
Q.19 通風はクール?
Q.20 卓越風を信じよ?
Q.21 暑さ対策は夏専用のやり方でないとダメ?
Q.22 夜間放射で夏の夜もヒンヤリ?

第5章 吹き抜け・大開口
Q.23 吹き抜けは最高?
Q.24 気密は息が詰まる?
Q.25 もっと光を?
Q.26 大窓でダイレクトゲイン?

第6章 暖房
Q.27 暖房で体を温めよう?
Q.28 エアコンは暖房に向かない?
Q.29 空気は働き者?
Q.30 隠せばハッピー?
Q.31 放射は暖房の救世主?
Q.32 薪ストーブは原始的?

第7章 再生可能エネルギー
Q.33 エネルギーは創り出せる?
Q.34 ソーラー=太陽光発電?
Q.35 太陽光発電が日本を救う?
Q.36 平時でも蓄電は美徳?

第8章 電気
Q.37 HEMSは最強の節電ツール?
Q.38 省エネよりゼロエネ?
Q.39 目指せCO2削減?
Q.40 オール電化はオールエコ?

エピローグ
Q.41 結局、エコハウスは必要なの?

 

 

「エコハウスのウソ」の気になった5つのポイント

私が気になった5つのポイントをピックアップしてご紹介します。

  • Q.4 家なんてどこに頼んでも同じ?
  • Q.10 結局、住まいは夏を旨とすべし?
  • Q.13 日本の窓はずっと世界サイテー?
  • Q.15 家のエアコンは節電の敵?
  • Q.27 暖房で体を温めよう?

 

 

 

Q.4 家なんてどこに頼んでも同じ?

ところが最近になって、熱心に構造やエコを勉強しデザイン力・技術力を高め、設計から施工まで一貫してハイレベルに仕上げる「スーパー工務店」が登場してきた。
木造軸組みは本来柔軟性が高い構法であり、最近では自由なプランを可能としつつ十分な耐震性を確保できるようになっている。断熱・気密についても実は木造軸組みは有利なので、ハウスメーカーを大幅に凌駕するエコ性能を確保できる工務店が登場していきているのだ。こうしてスーパー工務店を見つけることができれば、低コストにハイレベルな住宅が手に入る可能性がぐっと上がる。

エコハウスのウソ P.46より引用

 

内容の補足

家を建てる時にどこに頼むか?
主にハウスメーカー、建築家、工務店の3パターンのいずれかを選ぶうえで参考となる以下の情報が記載されています。

  • ハウスメーカー、建築家、工務店のメリット・デメリットの一覧表による比較
  • 国土交通省による中小工務店・大工業界の取り組み状況に関する調査結果(2014年)→耐震等級4(H11基準)の家を建てたことがあるか?、長期優良住宅の家を建てたことがあるか?
  • 事業主基準1次エネ規制達成事業者の年度推移
  • 断熱等級4に適合している個数の割合の年度推移
  • 2009年度と2013年度の一次エネ目標達成状況の比較

ハウスメーカー、建築家、工務店の3パターンそれぞれにメリット、デメリットがあります。
断熱性能などは「どこに頼んでも同じ」ものができるわけではないので、著者いわく

信頼できる会社を見つけられれば「8割成功」

「エコハウスのウソ」 P.49より引用

とのことです。

著者のおすすめは「スーパー工務店」。

そんなスーパー工務店が見つかれば、ハウスメーカーに頼むよりも安価で良い家が建てられる可能性がグっと上がるとのことです。

 

実際に平屋を建てた私が読んだ感想

我が家は設計事務所に依頼して工務店で施工してもらったパターンです。

工務店はC値、UA値の実測値を公表していて、高気密高断熱には非常にこだわりのある会社さんでした。

今考えると、私が施行をお願いしたのは紛れもない「スーパー工務店」だったということです。

一般に設計事務所にお願いすると、デザインのかっこよさばかりが強調されて、住みにくい家ができる、というイメージがありますよね。

でも私の家はどちらかというと実用性重視。
でも玄関ドアは木製の造作であったり、垂木現しの天井だったり、リシン吹き付けの外壁だったりと、意匠性が高い部分ももちろんあります。

結果的には設計事務所とスーパー工務店のいいとこどり、みたいな感じになり、今思えばラッキーでした。

建築士さんには良い施工会社を紹介してもらいとても感謝しています。

 

実際に我が家の仕様から考えると、大手ハウスメーカーなどで建てた場合に比べて、安く建てることができたと思っています。

家と言えば、住宅展示場→ハウスメーカーといった流れが一般的で大部分の人がそのようなルートをたどると思いますが、一度は工務店とコンタクトをとってみるのも良い選択だと思います。

家の性能をきちんと表示している信頼性が高い工務店さんに出会えれば、快適な住まいが手に入る可能性が格段に高まるはずです。

 

 

 

 

Q.10 結局、住まいは夏を旨とすべし?

A.
「夏旨」は通風偏重・断熱気密軽視の言い訳に使われていることが多い。日本の家はまず「冬旨」でつくっておくべし。

エコハウスのウソ P.40より引用

 

 

内容の補足

日本の各地の気候において、冷房や暖房のいずれも要さずに快適な時間は、年間の1割程度しかないとのことです。

特に低温な要暖房の時間は、寒冷地では年間の8割にもおよぶとのことです。

温暖地であっても年間の6割は暖房が必要ということで、暖房が必要な時間というのは思いのほか長いのです。

であれば、夏ではなく、冬にいかに快適に過ごせるかが、家そのものの快適性を左右する大きなポイント。

まずは「暖かい室内」を確保することを最優先すべき、というのが著者の主張です。

「冬旨」とすべき数々のデータも提示されています。

 

実際に平屋を建てた私が読んだ感想

寒い冬に標準を合わせるべきというのは、私も100%同意します。

夏の冷房は6~9月くらい、外気温30℃~35℃くらいの時に、エアコン設定は26℃くらいで快適です。

外気温との差は10℃前後です。

 

対して、冬場は外気温が0℃を下回ることもあります。

仮に朝晩は外気温0~5℃くらいが多いとして、快適に過ごせる室温が24℃とすると、20℃前後の開きがあるわけです。

要するに暖房は、冷房の倍くらいエネルギーを使って部屋を暖める必要があるということです。

 

我が家はC値0.8程度のなかなかの高気密に仕上げていただきました。

そのおかげか、冬は床下エアコンで一度LDKが暖まると、そのあとは冷めにくく常に快適です。

床下エアコンは直接不快な暖房風が体に当たらず、床からじわじわとした輻射熱で暖まるので、非常に体に優しい。

窓も樹脂とアルミのハイブリッド窓であるサーモスXと、樹脂窓APW330、430を組み合わせているので、結露もなく、熱損失も少ないため、非常に快適です。

高気密高断熱の家は、もちろん冷暖房費の削減という省エネにもなりますが、体の負担がとても少なく快適に毎日を過ごすことができるという点も見逃せません。

まずは寒い冬にいかに快適に過ごせるかをテーマに、家づくりの方向性を詰めるのはとても理にかなっています。

 

 

 

Q.13 日本の窓はずっと世界サイテー?

ドイツではUw値1.3超の低断熱窓は禁止されている

2011年以降はラベリング制度が変更され、窓全体が断熱性能Uw値に従って、四角の「青ラベル」で表現されるようになった。
しかし以前として、「最高位」の四つ星がUw値2.33以下。アルミ樹脂複合サッシでラクに取れてしまう低レベルに「調整」されている。
一方のドイツなどの「窓先進国」ではこのUw値が1.3以下でないと「売ることができない」。多くの国で同様に、Uw値の「上限」が決めている。日本の窓には上限など存在せず、なんといっても青ラベル「最高位」四つ星がUw2.33wでもらえてしまう。

エコハウスのウソ P.135より引用

 

内容の補足

日本の窓といえば長らくアルミサッシが主流でした。

熱伝導率が高いアルミがなぜサッシに使われてきたのか。

その理由を著者が鋭く考察しています。

 

窓後進国だった日本も、ようやく樹脂サッシをはじめとした製品が普及してきました。

本書では以下のデータとともに樹脂サッシの普及率や、性能の高さが説明されています。

  • 2007年~2014年の「アルミ・シングルガラス」「アルミ・ペアガラス」「アルミ樹脂」「樹脂」の4種類のサッシの普及率。
  • シングルガラスアルミサッシ、ペアガラスアルミ樹脂、ペアガラス・フル樹脂、トリプルガラス・フル樹脂の4種類の窓について、屋外側-10℃、室内側20℃の場合のガラスとサッシ温度を計測した図
  • シングルガラスアルミサッシ、ペアガラスアルミ樹脂、ペアガラス・フル樹脂、トリプルガラス・フル樹脂の4種類の窓について、窓のエッジや隙間の熱流のサーモグラフィーの写真

屋外側-10℃、室内側20℃の場合ではどのくらいサッシで差がでるのか。

  • シングルガラスアルミサッシではサッシ温度が0.1℃
  • トリプルガラス・フル樹脂はサッシ温度が15.3℃

上記のデータが実際のサーモグラフィーの写真で示されており、樹脂サッシの性能の高さが非常によくわかる内容となっています。

 

本書を読めば樹脂サッシが欲しくなること間違いなしです。

 

実際に平屋を建てた私が読んだ感想

アパート暮らしのころ、リビングと寝室のアルミサッシの結露、カビの発生に悩まされ続けていました。

結露問題に終止符を打つべく、新居ではYKKAPの樹脂サッシ製品であるAPW330と430を積極的に採用。

リビングでは樹脂とアルミの複合サッシであるサーモスXを採用しましたが、APWもサーモスXのいずれも結露は発生せず、非常に快適な冬を過ごすことができています。

著者の主張に100%同意ですし、高性能な樹脂サッシ製品が普及してきたタイミングで家を建てることができたのは本当にラッキーでした。

 

これから家を建てるかたに「ケチらないほうがいい設備」を聞かれたら、私はまっさきに窓をあげます。

よほどの寒冷地でない限りは、ペアガラスのフル樹脂サッシを採用すれば、寒い冬に結露で悩まされることはなくなるはずです。

樹脂サッシなら窓際が氷のように冷たい、なんてこともなくなります。

 

2020年ともなれば、さすがに新築でアルミサッシを採用するケースは稀だと思うのですが、それでも窓がフル樹脂なのか、アルミとのハイブリッドなのか、熱貫流率はどの程度なのかは、絶対にチェックしたほうがいいポイントです。

施主側が積極的に確認していかないと、もしかしたらとても低性能なアルミと樹脂のハイブリッド窓が設定されているかも知れません。

家の快適性に直結する部分ですので、窓はケチらず、きちんと投資することを強くおすすめします。

 

 

Q.15 家のエアコンは節電の敵?

太陽光発電と相性抜群のエアコン冷房

もし自分の家の屋根に太陽光発電が載っかっているなら、なおのこと安心してエアコン冷房を使うことができる。繰り返しになるが、PVと冷房は相性が抜群。冷房以外のエネルギー消費用途である照明や暖房・給湯は、夜や冬に「太陽の光や熱が不足する」からこそ必要になる。残念ながら、そうした肝心の時間帯には太陽の力も衰え、PVの発電量がダウンしてしまうので、結局は発電所からの電気に頼らざるを得ないことになる。
一方で冷房は、「太陽が有り余っている」夏の昼こそ必要になる。太陽エネルギーが満ちあふれているのだから、PVも元気一杯。あふれ出てくる発電量の一部を、遠慮なくエアコンに使えばよい。

エコハウスのウソ P.163より引用

 

内容の補足

海外では太陽光発電のことをPV(Photovoltaic)と呼ぶことが多いそうです。

PVは太陽の熱で暑い夏こそ、冷房との相性がベスト。

この理想的なベストカップルの威力が、実際の電力需給を変化させつつあることをデータとともに説明してくれています。

特に太陽光発電の普及率が高い九州地区では、8月の猛暑日(6日間)の、11~13時台のピーク時の電力の24.6%を太陽光発電で賄っているという2015年のデータが提示されています。

太陽光発電の普及によって、冷房時のピーク電力の問題は解決に向かいつつあるそうです。

 

実際に平屋を建てた私が読んだ感想

平屋は屋根面積が広くなるので、一般的には2階建ての家よりも太陽光発電パネルを載せられる枚数は多くなります。

我が家も平屋の特性を最大限生かすべく、太陽光発電を後付けで取り付けました。

 

著者の言う夏場の猛暑日の昼間のエアコンにかかる電気代は、100%太陽光で発電した電気で賄えています。

ここに本文ですので、暑い日の昼間に、エアコンをガンガンつけることへの抵抗はなくなりました。

節電を考えると28℃などの比較的高めの温度設定でエアコンをつけてしまいそうになりますが、28℃設定では実際には暑いことが多いし、それが原因で熱中症にでもなったら本末転倒です。

猛暑日に冷房をガンガンまわしても電力会社から電気を買わなくていいんだ、という事実は、精神的にすごくゆとりを与えてくれるものです。

 

 

太陽光発電はまさに猛暑日との相性抜群。

節電、省エネ、そして住宅ローンの負担を軽くするためにも、太陽光発電はとても有益です。

今からでも、もし屋根が余っているのならばつけない手はありません。

 

 

 

Q.27 暖房で体を温めよう?

「暖房は体を加熱することではない」と聞くと、何かおかしく感じるかもしれない。炎や電気ヒーターに手をかざせば、明らかに手が温まる。体が加熱されているとしか思えない。
この現象の正しい解釈は、「体の一部は加熱されていても、体全体としては熱を放出している」ということ。火に当たっている「オモテ面」は、確かに加熱されている。一方で火に当たらない「ウラ面」は、空気の対流・壁への放射により冷却されているのだ。結局、人体の代謝による放熱量にオモテ面の加熱量が加算され、ウラ面からまとめて放出されることになる。

エコハウスのウソ P.264より引用

 

内容の補足

たき火などで体の片側だけを加熱するやり方で暖を取ることを、「採暖」と呼ぶそうです。

「採暖」と「暖房」とは明確に区別されているとのこと。

 

「採暖」の問題は、熱源に直接当たっているオモテ面の熱を、血液がウラ面に移動させて放熱いる点だということです。

血液で熱を循環させているため、血管や心臓に大きな負担がかかっている。

たき火に手をかざすと暖かくて気持ちいいですが、そうした快感は長続きせず、長時間になれば体への負担が大きく不快であることは容易に想像ができるでしょう。

体全体を均等におだやかに放熱させるためには、採暖ではなく、部屋全体の空気を適当な温度に保つ「暖房」が必須というのが著者の主張になります。

 

 

実際に平屋を建てた私が読んだ感想

高気密高断熱+床下エアコン暖房の我が家は、究極、とまではいかないですが、不快な感じが全くしない、とても快適な暖房空間を実現しています。

LDKは勾配天井となっており、高い側は3.7メートルにもなります。

当然、暖かい空気が上に逃げるので、暖房効率としてはよくないはずです。

ところが実際に住んでみると、足元が寒いといった不快な感じは一切ありません。

アルミサッシのアパートに比べて格段にすごしやすいことに驚くと同時に、以下の組み合わせの重要性を実感しました。

  • 床下から暖めるエアコン
  • 暖めた空気を逃がさない高気密
  • 壁や窓からの冷気をシャットアウトする高断熱

引っ越し前に住んでいたアパート暮らしは、某大手ハウスメーカーが2013年に経てた物件です。
ですので、比較的高気密ではあったと思います。

しかし断熱性能については、全室アルミサッシのペアガラスだったために、冬場はサッシが氷のように冷たく、おせじにも高性能とは言えませんでした。

アルミサッシの窓からの熱損失はすさまじく、部屋の暖かさをキープするには、常にガンガンに壁掛けエアコンの暖房をまわしておかなくてはなりませんでした。

しかもエアコンの吹き出し口近辺は暖かいのですが、どうしても部屋全体の温度にはムラがあり、エアコンの吹き出し口側のみが暖かい「採暖」に近い状態になっていたと思われます。

 

対して新居の平屋は、床下エアコンで床からじわじわ暖めても、高気密高断熱のため、熱が室外に逃げません。

部屋全体がマイルドに温かい状態となって、体全体がほんわか暖かいのです。

「採暖」している感じはまったくなく、LDKのどこにいても均一な温かさを感じることができています。

 

たまに夫婦お互いの実家に家族ででかけますが、窓はアルミサッシで、ガスファンヒーターや石油ストーブといった「採暖」の暖房器具を使っているため、どうしても体の一部分だけが加熱される状態になります。

比べてしまうと、我が家の快適性とは明らかな違いがあるのです。

 

高気密高断熱にするには、それなりのコストもかかりますし、高い施工技術を持った工務店さんやハウスメーカーさんが施行する必要があります。

床下エアコンも高気密高断熱があって初めて快適性を発揮できる設備になります。

なかなかハードルは高いですが、それでも実際に住んでみた時の快適性は最高。

冬場、体に負担をかけない生活を希望するなら、高気密高断熱、床下エアコンの家づくりをすれば、コスト以上の大きなリターンが得られると断言します。

 

 

【まとめ】「エコハウスのウソ」は本物のエコハウスを作るうえでの知識が満載です。

まとめ

今日の記事をまとめます。

まとめ
  • 家はどこに頼んでも同じ、ではないということです。
    ハウスメーカー、設計事務所、工務店それぞれにメリット、デメリットがあり、実現できる家の性能にもバラつきがあります。
    本書で本物のエコハウスについての理解を深め、たくさんのメーカーや工務店を比較してみることをおすすめします。
  • 住まいの快適性を考える時に、基本は冬を基準に考えると良いとのことです。
    冬のほうが外気温との差が大きいため、家の性能差がモロにでます。
    まずは冬暖かく過ごせる家を目指しましょう。
  • ながらく日本の窓を支えてきたアルミサッシの時代も、ついに終わりを告げようとしています。
    これからは樹脂サッシが標準ですが、一口に樹脂サッシと言っても、種類は豊富で、特徴も異なります。低断熱の窓を入れるとあとで苦労するので、自分の建てる家のサッシがどのようなものかは、よく確認しましょう。本書を読めば、サッシとガラスの種類についての知識がひととおり得られます。
  • 太陽光発電は猛暑日と相性抜群です。省エネを目指すなら、積極的に活用したい設備のひとつです。太陽光発電については、本書の後半でたくさん紙面を割いて説明されています。太陽光発電への理解を深めたいかたにも本書はおすすめです。
  • 部屋の中が均一に温かい暖房空間を得られると、冬場の快適性が飛躍的に高まります。
    体の一部を暖める「採暖」を長時間利用することは体への負担が大きすぎると著者は警鐘しています。
    快適な暖房空間を得るには高気密高断熱が必須です。
    私の経験も加えさせてもらうと、床下エアコンも組み合わせると足元から均一に暖かい究極に近い快適空間が得られます。
  • 今回ご紹介した5つのポイント以外にも、豊富な実験データをもとに、本物のエコハウスを作るうえで欠かせない知識が満載です。
    本書を読んでエコハウスに関する知識を習得すれば、ハウスメーカーの言いなりにならず、きちんと自分達で設備や家の性能の良し悪しを判断できるようになります。

 

著者の前 真之さんは最後の質問「Q.41 結局、エコハウスは必要なの?」で、はっきりとイエスと言っています。

いくらIT化が進んでも、私たちの体を包んでいるのは昔と変わらず物理的な建物だから、という著者の主張には、深くうなずくしかありません。

エコハウスというのは、単に光熱費などのランニングコストが安い家、ではないということです。

季節による寒暖の差に悩むことのない、体に優しい住環境が手に入ること。

それこそが「本物のエコハウス」の最大のメリットになります。